2026年7月24日建築士法が改正され、7月31日に公布されました。
大事なのは、この改正を元に、
- 建築設計業界がどのように変わるのか
- 我々設計びとはどう立ち回る必要があるのか
を知り、考え、行動していくことで今後もより建築設計職で上手に生きることができます。
特に
- まだ二級・一級の試験を受けていない人
- 今試験を受けている最中の人
には、今後の設計キャリアに響いてくるほどのビッグニュースです。
ぜひ最後までお目通しください。
ささ本記事では一つずつ丁寧に解説していきますね
資格要件に関する改正の内容


試験に関する改正の全体像をまずは図解にて紹介します。


ざっくり説明すると、この改正では
・受験機会の拡大
・免許登録要件の緩和
のふたつが大きく変わった形となります。
それぞれ詳しく解説していきますね。
①建築学科に在学中の学生
| 現行制度 | 学生による在学中の受験は不可 |
| 改正法 | 大学等で一定の単位を取得済みで最終学年で卒業の見込みがある場合は受験できる |
受験資格に関しては、
- 一級建築士
- 二級建築士
- 木造建築士
の全てにおいて同じ内容が適用されます。
免許の登録においては、一級建築士では、2年間以上の実務経験が必要ですね。



基本的に受験するのは最終学年の学生
▽図にするとこんな感じ▽


二級建築士・木造建築士の場合は、実務なしでそのまま免許登録可能です



要するに、学生でも試験を受けることが可能になったということです
(これがすごく大きな変化)
②建築学科を卒業していない建築経験者
| 現行制度 | 建築学科を卒業してない建築経験者が二級建築士の試験を受けるためには、実務経験が7年以上必要 |
| 改正法 | 実務経験が2年以上で受験が可能(実務経験2年で合格した場合、合格後に2年の実務を経て免許の登録が可能) |



免許の登録までには4年以上の経験が必要ということだね
▽図にするとこんな感じ▽





要するに、実務経験が2年以上あれば誰でも二級の試験が受けられるようになったということです
③建築学科を卒業していない二級建築士
| 現行制度 | 建築学科を卒業してない二級建築士が一級建築士の免許を受けるためには、二級建築士になった後に4年以上の実務経験が必要 |
| 改正法 | 実務経験が8年以上(高等学校等で建築科目を修めて卒業したものは卒業後6年以上)あれば、二級建築士としての実務経験が2年で一級建築士の免許が登録できる |
▽図にするとこんな感じ▽





要するに、二級建築士になる前にいくら建築業界で働いていても、二級建築士になった後に4年以上の実務経験が必要だったけど、これからは、二級建築士になる前の実務経験も含めて評価される仕組みへ変更されたということだね
④建築学科を卒業した建築士受験者(変更無し)
建築学科を卒業した建築士試験の受験者に関しては、現行の制度からの変更はありません。
ここが一番ボリュームゾーンだと思いますが、、
建築学科を卒業した建築士試験受験者へは2018年に受験要件撤廃という大きな改正が行われています。
あくまでも、今回の法改正は
- 受験機会の拡大
- 免許登録要件の緩和
が目的ですね。



2018年の改正は、実務経験なしで
一級建築士の受験が可能になるというものでしたね
⑤建築設備士に関する内容
| 現行制度 | 設備士試験合格後に自動的に設備士として扱われる |
| 改正法 | 設備士試験合格後に免許登録をして設備士として扱われる(免許登録時に実務要件を確認) |
施行時にすでに建築設備士の人は施行日から1年の間は登録がなくても設備士として扱われます



要は免許登録が必要になったということですね
契約の適正化を図るための改正


契約書の相互交付義務の対象範囲の拡大
簡単にいうと、面積の制限を撤廃する改正です。
| 現行制度 | 延べ面積 300 ㎡超の建築物を新築する場合の設計契約・工事監理契約においては契約書を相互に交付する必要がある |
| 改正法 | 面積に関係なく、建築士が設計・工事監理を行う全ての設計契約・工事監理契約において契約書を相互に交付する |



小さいものでもちゃんと契約書を取り交わそうという変更ですね
見積書の作成等についての努力義務
ぼったくりや低すぎる設計報酬を防ぐ、安く買い叩かれてしまう業者などを救う狙いがある、努力義務の変更です。
・建築士事務所の開設者に対しての変更
→業務内容や報酬を明確にした見積書を作成すること
・契約当事者に対して
→見積書の内容などを踏まえ、適正な委託代金で契約すること



「一式」とか雑な見積もりや、「もっと安くやってよ」という無理なお願いはやめようねという変更
なんのための法改正なのか


どういった背景から法改正が行われるに至ったのかを解説しますね。
建築業界の高齢化への対策
建築業界は建築士の高齢化が深刻な問題です。
R6年のデータとして、国土交通省が公開している一級建築士の世代構成は以下の通り
| 年代 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 20代 | 2,134人 | 1.6% |
| 30代 | 13,023人 | 9.7% |
| 40代 | 25,139人 | 18.7% |
| 50代 | 35,491人 | 26.4% |
| 60代以上 | 約58,680人 | 43.7% |
| 合計 | 134,379人 | 100% |
表から読み取れる内容として
・60代以上が約44%
・20代と30代を合わせても約11%
つまり、若手が60代以上の1/4しかいない状況です。
若手不足が明確に分かる構成になっており、次世代の業界の担い手がいない。
だから、将来の建築士等を確保する必要性があるため、今改正で大規模な緩和が行われました。
設計・工事監理契約の適正化を推進
現行の制度では、300㎡以下の建築物の契約においては、契約書の相互交付義務がありませんでした。
今回の法改正では、その制限を撤廃。
すべての設計・工事監理契約において、契約書の相互交付義務が課されます。
小規模な住宅を含め、業務内容や報酬、責任範囲を契約時に明確にすることで、建築主と設計者の間での認識違いや契約トラブルを防ぐ狙いがあります。



少しルールが厳しくなったものの、建築主に振り回されやすかった設計者からするとありがたい変更です
だれに影響があるのか


法改正により影響を受ける人が誰なのかを紹介します。
資格要件に関して影響を受ける人
- 建築系の大学・高校に通う学生
- 実務経験で二級建築士、木造建築士を取得しようとする人
- 実務経験で二級建築士から一級建築士を取得しようとする人
- 設備士を取得している(取得しようとしている)人



建築士試験を受けようとしている社会人の方(建築学科卒業者)も
受験生の層が変わるので間接的に影響がありますね
契約の適正化において影響を受ける人
- 建築士事務所等(建築業務を請け負う人)
- 住宅や事務所など小規模な建物の設計・工事監理を依頼する人や事業者
建築士事務所は書類作成等の手間が増えるけど、自分たちを守るための法律でもありますね



見積もりを提示することでこのくらいの金額が必要です
と相手に示す根拠になりますね
いつから施行される?


実際にいつから改正内容が施行されるのか
資格試験の話 公布から3年以内
試験に関する変更は、公布日の2026年7月31日から3年以内に施行されます
最も早くて来年の2027年から変わりますが、変更に関する各地への周知や対応に時間がかかるため、施行日が公布から3年と長めに設定されており、実際には段階的に変わっていくと想定されています。
建築士の学科試験は一級で7月下旬の日曜日とされているので、3年後の2029年の試験でどこまでが反映されているか予測が難しいところです。
ですが、公布から最も長い期間の3年でみても2029年7月31日以降は改正内容が反映されます。
つまり、そう遠くない未来、2030年以降の試験には、改正内容が確実に反映されていることになりますね。



「あと4年」ではなく「すぐに変わる」と考えたうえで動いていく必要がありますね。
契約書 公布から1年以内
契約書に関する変更に関しては、公布日の2026年7月31日から1年以内に施行されます、
資格試験の変更と比べると
- 適正化が急務
- 変更に時間がかかるものではない
という観点が大きいですね。
あと、1年もすれば変わる内容です。



企業や事務所側は変更への
対応が求められますね
今後予想される展開


過去の建築士法に関する改正もありましたが、ここではその際に起こった変化から、今後予想される展開を紹介します。
2020年に施行された受験時実務要件撤廃の影響とその後の傾向
2020年に起きた法改正でも受験要件が撤廃され、実務経験は資格の登録要件に変更されました。
その結果、一級建築士の最終合格者の平均年齢は下がっています。
| 改正前の2019年 | 32.0歳 |
| 改正後の2024年 | 29.0歳まで低下 |
これは、仕事が忙しくなる前の社会人1,2年目に資格を取るというトレンドが出来ているからですね。



私もこの改正の恩恵にあずかり、
社会人2年目に一級建築士に合格できました
そして今回の法改正では、その若者が受験するというトレンドが大きく助長される形となっています。
大学生が受験できるようになるからですね。
大事なのはここからで、学生として時間が沢山ある大学生が受験できるようになると、、
相対評価のため合格点が上がり、会社員で受験をしている人は受かりにくくなるんです。
将来的には、設計経験10年以上でも、資格がないために3年目の若手の名前を建築士として借りて物件を建てるという将来が見える→おのずと資格のある若手の給料が上がる
つまり資格がない設計者にとっては、かなりつらい状況になるのが目に見えています。
よって、法改正が施行されるであろう今後1~3年の間に、確実に資格を取った方が良いと断言できます。
ちなみに
- 試験は1回で受かるものではない
- 施行が3年後という確証はない(もしかしたら1年後かも)
といった理由から「3年以内に受かれば良い」と楽観的に考えてしまうのは危険です。
資格を効率的に取得する方法は、別記事でもまとめていきますので、ぜひあわせて参考にしてください。
>>合格する方法はこちら
別途ブログ記事も作成中です。
まとめ


建築士法の改正案が成立しました。
要するに一番伝えたいのは
時間のある若者(学生)が試験を受けられるようになるということ。
つまりそれは、すでに実務経験は豊富だが、資格を持っていない人からするとより不利になるということです。
- まだ試験を受けていない人
- 今試験を受けている最中の人
は、なるべく2027年中に合格できるよう動き始めることを強くおすすめします。
それを少しでも早く知らせるために、本記事を執筆しました。
本記事を読んだ方の気付きのキッカケになれば幸いです。







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